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殺人鬼の棲む島

第15章 二日目 夜更け

紫響の挑発的な笑みと京茶屋の威圧する睨みがぶつかる。

「誰か一人か二人犠牲になって他のメンバーが助かるなんてインパラみたいな作戦よね。肉食獣に狩られる弱々しい草食動物の作戦」

紫響の言葉はどんどんと団結しかかったメンバーの心を揺さぶっていく。

「確かにkuroさんは死なせてしまったが……一緒にいればわしが絶対に守る」

「守れないでしょ」

紫響の顔から笑みが消えた。

「あなた達警察は守れないでしょ? 私の主人が脅迫された時も警察はろくな対応を取らなかったわ。主人が殺されて、ようやく警察は動き出したの。あなた達警察は結局人が死んでからじゃないと何にも出来ないじゃないの?」

紫響ははじめて感情的な声を上げた。

紫響が未亡人になったいきさつをはじめて聞かされた一堂はかける言葉が見つからなかった。

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