「君は失恋をして、綺麗になった」
第3章 「名もなき恋の歌」
「俺、決めたから。
今日の部活が終わったら…
ちゃんと美沙に告ってくる」
本当に私…
何であの時
ちゃんと断らなかったんだろう。
あの2人は幸せになっていくのに
私だけこんなつらい思いをして…
何も報われないみじめな自分が
情けなくて、悔しくて…
本当にたまらなくなる。
でもやっぱり
これが惚れた弱みなんだろうね。
例え相手は私じゃなくても…
この人を喜ばせてあげたいなって
思ってしまう。
離れたくない…
独占したいって思ってしまう。
朔とも美沙とも…
距離を置かなければならない日が
もう、そう遠くない場所まで来ている。
部活中に行きかう
2人の視線が重なるまで。
私の想いが、無に帰するまで。
あと……1時間。