「君は失恋をして、綺麗になった」
第4章 「大人のココア」
〜〜〜♪
『もしもし、陽呂⁇
もう皆そっち着いてる⁇』
「あぁ、今酒飲んでホラー見てる。
サクも早く来いよ」
『うん、分かった!
あと3分で電車来るから
22時には着けると思う!』
「おっけ、了解。
じゃあ駅着いたらまた電話して。
気をつけてな」
『はーい』
はぁ…
久々にした陽呂との電話。
大学生になった今でも
やっぱりちょっと緊張する。
〝サク〟…
私の本名〝桜〟を
相変わらず〝サク〟と呼ぶ陽呂。
昔からちっとも変わってない……
〝気をつけてな〟
いや、やっぱりちょっと変わったか。
あの頃より少し低くなった声に
さり気ない優しさ。
駅の窓に映るオシャレした自分を見て
お互い大人になったことを実感する。