「君は失恋をして、綺麗になった」
第1章 「幸あれ」
「これは男の仕事だろ」
いつも送ってくれることが申し訳なくて
『無理しなくていいのに』と
無愛想に言った私へ返ってきた言葉。
あの時の照れた顔が
今でも頭に浮かんでくる。
「よく頑張ったな、偉い」
2人で勉強してから臨んだテスト。
私が自己最高点をとった時
あなたは笑って頭を撫でてくれたよね。
「言いたいことあんなら
言えばいいだろ‼︎
そんなこと言ったくらいで
俺が嫌いになるとでも思ってんのか⁉︎」
先輩に告白された10月下旬。
〝別に気にしてないし〟って
いつもと変わらず
振舞っていたはずなのに……
あなたはちゃんと
気づいていたんだね。
「バレンタイン期待してっからな」
はにかんで笑う、幼げな翔太。
でも今思えば
甘いもの、食べられなかったじゃん。
「お互いのために2人で頑張ろうな」
受験を控えた2度目の春休み。
私の初めてを捧げた、あの日を最後に
私たちは会わないことを約束したね。
結局最後の最後に
違うクラスになっちゃって
本音言ったら寂しかったんだよ。