「君は失恋をして、綺麗になった」
第5章 「I wish you a merry Xmas.」
いつもより
照明の明るい街中を
1人、トボトボ歩く帰り道。
見る人、通る人
皆幸せそうなカップルばかり…
私、こんな目に遭うために
我慢してきたわけじゃない。
ずっとずっと…
物分かりのいい女
都合のいい女
いつだって…
どこにいたって
いい女を演じてきたはずなのに…
私、何がダメだったの……?
何が足りなかったの……?
もう……限界だよ。
「え……柊先輩?」
いつの間にか
20時を回っていた時計塔の前
駅へと歩く社会人に混じった私を
彼は一目で見つけてくれた。