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「再会」と呼べる「出会い」

第4章 兄と弟

「…アイツに
 身体の時間を
 止められたからだよ」

「じゃあ 今までずっと…?」

カラスは頷いた。



壁にかかったカレンダーに目をやる。
今何年か確認し、計算する。


「…100年 経ったのか
 俺が死んでから」

「…そうだよ」

「俺は、転生したのか…」




俺は生まれ変わったらしい。


”ハルシオ”から”隠土晴一”に。

記憶がゆっくりと
脳を巡る。



「転生したのは“つきちゃん”もだよ」

「月子っ?!」


月子
俺が前世で唯一愛した女性。

思いは一方通行だったかもしれないが…。
俺は彼女を救うため命を捧げた。



月子への思いが
名前を聞いたと同時に蘇る。

会いたい 今どこに??

「彼女はどこに?」

「ここにいるよ」

「?」

「…あ 在学してる
 って言うのかな
 あれ、会わなかった?

 彼女の今の名前
 『神鳥 由芽(かんどり ゆめ)』
 っていうんだけど」


「あ」


…彼女が

始業式で倒れて俺が運んだ…
昼にここで会った…

彼女が


「月子…  神鳥?」



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