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「再会」と呼べる「出会い」

第12章  イカ祭りの誘惑

濁天のカウンターには
隠土先生が立っている。

俺達は晩飯をご馳走してもらう
事になった。


「嬉しいなぁ。
 誰かにご飯作って貰うなんて
 いつ振りかなぁ」

「あー…最近はキヨにばっか
 作らせてたもんねぇ」

マスターの清和さんが
嬉しそうな笑みを浮かべている。
次朗さんは
カウンターの端の席に座って
さっきからずっとペンを走らせていた。

「次朗さん、課題ッスか?」

言いながら、俺も実は課題中。


「それもあったっけ。
 だけど今はこっちが優先…」






「内職だよ」

俺の疑問を察した松井さんが
答えてくれた。

松井さんは本を読んでいる。
この人はここに来ると、
大体こうして本を読んでいる事が多い。

「え 内職ですか?」


「稼がないとね。
 人間社会に生きるには
 何かとお金がかかるから…。」

「へぇ
 けど大変じゃないっスか?
 学生して、敵とも戦って」

「ま、慣れれば」

そう言いながら、
次朗さんは俺に一冊の本を渡した。


表紙には

『開花する蕾』

というタイトル

“黒烏”っていうのが著者の名前か…

黒い背景に
浮き出るように描かれた裸婦が
なんともエロい…

ってこれ !


「も もしかして次朗さんの内職って」

「官能小説家」

「えっ?!!!」

俺と隠土先生が同時だった。

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