テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第1章 苦過ぎた初体験

何事もなかったかのようにバスを降り、
何事もなかったかのように家に入る。

「…ただいま」

「おかえり、ミカ
 お昼食べた?」

あ…
そう言えば…

「うん。お腹いっぱい。
 部屋にいるね。
 勉強しなきゃ…」


お母さんに嘘をついた。
お昼はご飯食べ損ねたのだから。

けど今対面したら
泣き腫らした顔を心配されてしまう。

それは避けたい。
心配かけたくない。

部屋に入り、鞄を置く…。
空腹感と共に、
忘れようとしていた感情が溢れてくる。


「…んっぁ…」

声が漏れないように
枕に顔を押し付ける。

さっき、あれだけ泣いたのに…

……

「うっ… ひっ…くっ」


腰とアソコの痛みは消えても
胸の痛みは消えない。

辛い 辛い 辛い


優司くんが怖い 

もう
信じられない。

怖い   …怖いよぅ…


    何が“上回った好奇心”よ。


ー…?


    自業自得ね
    思い知った?

…誰?


    ………。


…ドクン…

「……誰?」


    “彼じゃない”

……

「どういう  意味?」


“彼じゃない”って、なに?




頭の奥から聞こえた声は
そう告げると、再びだまってしまった。

訳が分からない。


混乱する思考の中で
光が差すように浮かぶ
穏やかな微笑

…今日会ったお兄さん、
この間アイス屋さんにいたおじさんと
同じ笑い方だった。

二人は何か関係があるのかな…?

今はどうでもいいことだけど
その、どうでもいいことが
辛い気持ちの時には救いだったりする。

何故 私は
こんなに気になっているんだろう。
どうして
あの二人に懐かしさを感じたんだろう。







その答えは
これから出会う
一人の男の子によって
一本に繋がる。





携帯に優司くんからメールが入った。

私は内容を見ずに
着信拒否のリストに登録した。




■□■ 第一章  終わり ■□■


ストーリーメニュー

TOPTOPへ