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好きで、好きで、好きで。

第3章 さざ波

「よお、操~」

「ああ~高橋君、やほ~」

テニスラケットを持って走ってくる高橋に気づき、操は手を振った。

「何してんの?」

「あのね、小坂君を案内してるの~」

「小坂?ああ、例の転入生か!」

操の後ろから来た長身の男を見つけて、高橋がフェンス越しに頷く。

「操~小坂君が見たいとこ行かないと、何勝手に歩いてんのよ~…あ、高橋!」

プリプリして小坂と歩いてくる紗理奈は高橋に気づいて笑顔になった。

そして彼女の気づいた高橋が顔を真っ赤にさせる。

「さ、紗理奈!お、お前もきてたんだ。」

「うん、あ、こっち小坂君。転入生だよ。今案内してるんだけど、操が先にいっちゃって。」

「そ、そうなんだ、操、お前相変わらずマイペースだな。」

「へへっ」

高橋は操に話を振りながら、無理やり紗理奈から小坂に視線を移した。

「よっ、俺、高橋省吾!いちおテニ部のキャプテンだ。よろしくな!クラスはお前の隣。」

高橋が二カッと笑うと、小坂も少し戸惑ってから小さく笑った。

「よろしく。俺は小坂悟。」

「クラスは違うけど、またなんかあればいつでも聞いてくれよな!」

「ありがと。」

「高橋せんぱーい!」

「あ、じゃあ俺戻るわ!」

後ろから呼ぶ後輩に手を挙げると、高橋は颯爽と走っていった。


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