
好きで、好きで、好きで。
第4章 初めて
『はじめまして。隣に移ってきた小坂です。』
『まあ!よろしくお願いしますね、高田です。…あら、お子さん、いくつ?』
『今年小学生になるんです。』
『あら~~ほら、操、同い年だって!』
『ほら優斗。操ちゃん、仲良くしてもらいなさい。』
お母さんの言葉に、5歳の操は目の前の男の子に手をのばした。
『操だよ!よろしくね優斗君!』
『…』
チラリと手を見てから少しだけ触れる程度の握手を交わした優斗を、操はすぐに気に入った。
『優くん!これ、こっち~~!あうっ!』
『操、前向いて歩かないとダメだろ。』
『ごめんなさぁい…』
おじさんにぶつかった操をちょっと叱りながら、優斗がぎゅっと手を握る。
その顔はちょっと赤いけれど、操はそんなしっかりした優斗が大好きだった。
『ねーえっ!どうして最近冷たいの~~?』
中学生に上がったとたん、優斗は以前に比べて一気にそっけなくなった。
操がいつっものように周りをうろうろすると、きつい言葉で文句を言う。
『中学生になってまでウロウロすんなよ。みんな俺らのことなんていってると思ってんだ?』
『なんていってるの~?』
『はあ…夫婦か、って。』
『いいじゃん~~操、優君のお嫁さんになるぅ~』
『嫌だよ、俺絶対。』
