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とあるホストの裏事情・完

第10章 テイクアウトの罪

仕事が終わり、外へ出ると、真っ黒で艶やかな車が一台止まっていた。
斎藤さんだ。


「ごめんなさい、遅れました」
「いや全然。じゃ、行くよ?」
「はい」


あれから俺は、ちゃっかりお持ち帰りされることになっていた。
将悟から、「気を付けろよ、惚れんじゃねーぞ」って言われた。
まぁ、イケメンだし 変態だし キス魔だし

危ない要素いくらでもあるけど
どうせキスだけだろ?って思った。







「ここ、俺の家」
「…っ、デカ!!」
「そう?よくあるマンションだけどな」

ハハッ、と笑って、僕を家に案内してくれる。


エレベーターの中で、いきなりキスをされた。

「ちょっ…」
「もー、可愛すぎ。マジでやりたいなぁ……」
斎藤さんは、俺の顔を両手で包み込み、顔の角度を変えて
もう一度、キスをした。今度は…深い…甘いので…

そう思っていたら、部屋のある階に着いた。

「残念。いいとこだったのになー」
と、名残惜しそうに俺から離れる。

やっぱ…俺、やるんかな………

心に、一筋の不安がよぎった。
でもそれを、俺は一瞬で消した。

将悟の初めてを奪った人。大丈夫。大丈夫だ…

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