とあるホストの裏事情・完
第29章 氷悠 × 遥
『なんだよ、酔ってる? おーい、ひゆーさーん? あははっ、…は?』
『つまりはそういうこと。』
可愛く笑っているところ悪いけど、俺は遥に触れるだけのキスをした。
向こうで大きなカップルイベントがあるらしく、ツリーの下には誰もいない。
俺の顔を呆然と見つめてくる遥。
なんだ、まんざらでもねーのかよ。
そう思い、もう一度しようと顔を近づけると、
『~~~~っ!!』
『っおい、お前、迷子になる、』
声にならない声を出しながら、ベンチから立ち去ろうとする遥。
俺はその腕をつかむことなく後ろをついていく。
ちょっと歩くと、人が増えてきた。
そこで落ち着きを取り戻した遥がこちらを振り返った。
なるほどな、ここならさっきみたいなことはできないと思ったんか。
そして、今に至る。
「何にそんな怒ってんの?」
「~~っ、わっかんない!? 僕をなんだと思ってんの!? 氷悠は!」
「なにって、オカズでもあり恋愛対象でもあり、」
「っはぁ!? なんでだよ、俺ら高校からの友達じゃん…」
「俺は遥のこと友達って思えなかった」
「……は、ぁ?」