とあるホストの裏事情・完
第29章 氷悠 × 遥
自分では起き上がれないのか
手を上げてひらひらさせている。
可愛いとは罪だ、とつくづく思う。
俺はたまに遥の保護者目線になってしまうときがある。
よくいるだろ
めっちゃガチのカメラ構えて参観日とか運動会とか来る親。
あの目線、つまり溺愛しているんだ。
可愛いと思ったら抱きしめたくなるし
素直だったら撫でてやりたくなる。
手を繋ぎたくなる時だって勿論ある。
でも全て、遥が嫌がるからできない。
これから先も、きっと。
細い手首を持って
肩に腕を回してやる。
で、細い腰を持って支える。
さりげなくケツを撫でてみるけど
反応はないからもう寝たんだろう。
足だって、筋肉は使われていなく
だらーんとしている。
引きずっているのだ。