とあるホストの裏事情・完
第31章 氷悠 × 遥 ー 守りたいもの ー
一瞬のことだったけど
遥は確かに俺とキスをした。
顔を近づけてきたのだ。
「なんで、キス…?」
「大切だから。 好きだから。 クリスマスのときにも言ったろ」
「好き、って… そんなこと言われても、っん…」
顔を紅潮させうつ向く遥に、強引ながらも
もう一度キスをする。
嫌がる素振りもせず、俺のキスを受け入れてる。
なんでだ?
なんで、酔ってる訳じゃないのに
俺のこと拒まないんだろう。
「…っ、はぁっ… んっ」
「っふ… なぁ、遥」
「…なに?」
息を切らしている。
そんなに激しいのやってねぇぞ、俺。
近い距離で、しっかりと遥を見据えながら尋ねる。
「なんで俺にキスさせてんの?」
「…え? なんで、って…」
「いっつも無理矢理されて嫌がってたのに、なんで今日は受け入れてくれるの?」
求めてる答えはただ1つ。
それを遥が思っている確率は、そう低くはないはずだ。