とあるホストの裏事情・完
第31章 氷悠 × 遥 ー 守りたいもの ー
玄関に入ってすぐ
遥を抱き締めた。
細くて、儚げだ。
「…もう、巻き込まれないで。 約束して」
「そんなのしょうがないよ… 近くにそういう店いっぱいあるんだから」
「だから、それをうまくやれって… あ、迎えに行こうか?」
遥の髪の匂いを嗅ぐと
俺のシャンプーと同じ匂いがした。
それだけでなんとも言えない気持ちになって
なんかこう、すっげぇ興奮する。
「いいよ、そんなの。 氷悠に迷惑かける…」
「俺のことは全然いい。 なんでもできちゃうからな」
「うん…」
少し身体を離して遥の顔を覗き込むと
うつ向いていた遥と目が合う。
それから3秒間目を合わせた後
ごく普通に、キスをした。