とあるホストの裏事情・完
第34章 新婚(!?)旅行
少しいじりたくなって、研斗の首に吸い付く。
ちぅ、という音を立てて唇を離すと
キスマークがくっきりついた。
「あ…痕つけた……!!」
「大丈夫だよ、遥もきっと身体中に作って風呂上がってくるから」
「そういう問題じゃ……って、ぁ…」
頬を紅潮させている研斗の顔を上げ
唇を近づける。
いつも通りの、いい匂いがする。
「ん…ちょっと、2人戻ってきたらどーすんだよ…」
「んー?風呂で続き、かなー?」
「ぅ… だめ、まだだめだって…」
研斗の首に吸い付きながら
服の中に滑らせている俺の手を掴んで
弱々しく「だめ」だと言う。
あぁ、なんて可愛いんだ、この表情。
「だめ?今は、でしょ?」
「ん…後でしていいから、今はだめ」
「でも露天風呂だよ?女湯に声聞こえちゃうかもよ?」
意地悪だと思っていても
ついついやってしまう。
だって可愛いんだもん、からかいたくもなる。
「じゃあ……今日はしない」
「……え?」
「今日は、エッチしない。わかった?」
「お、おぉ…………?」
どうしよう、初めて俺の意地悪が裏目に出た。
本当に、初めてだ。
俺はしばらくの間、研斗から目が離せないでいた。
呆然として。