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とあるホストの裏事情・完

第7章 過去

研斗side


あれから…将悟とセックスを一度もしないまま、時間だけが過ぎていった。


将悟と誠也さんは、お互いライバル心を持ちながら仕事に励んでいる。








「研斗ー、指名入ったぞ。
もう一人でいけるだろ?」


ボーッとして並んでいると、将悟に声をかけられる。


「…っあ。俺か…」

黙ってウエイトレスに着いて行き、テーブルに着く。

相手は…美嘉さんだった。


「こんばんは美嘉さん。
指名ありがとうございます」

店長にも評判の、営業スマイルを見事に浮かべ、美嘉さんの隣に座る。

「まあ。接客が大分板についてきちゃったわね
将悟と同じくらいじゃない? フフッ」

お得意の上品な笑いで俺のちよっとした緊張が解れる。


「いや、将悟には敵わないな…
美嘉さん、今日は何にする?」


「んー…じゃあ今日もいつものにしちゃおうかしら。
ここのシャンパン美味しいのよ~」

俺は黙ってシャンパンをグラスに注ぐ。

もちろん、俺の分は作らない。


「はい美嘉さん」

笑顔で渡すと美嘉さんも笑顔で受け取ってくれる。

今のところうまくいってるな…

「研斗くん、飲まないの?」

想定内の質問が当てられる。

俺は台本にあるかのように、

「今は禁酒中なんだ。
付き合えなくてごめんなさい」

と言う。

我ながらいい演技だ。

「そう?
じゃあ今度来たときにつきあってもらうわ。 フフッ」


目を細めて綺麗に笑う。

そのままの口調で話を聞いていると、俺に指名が入る。

「美嘉さん、また。」

と軽く手を振ると、美嘉さんは上品に「またね。」と言う。

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