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とあるホストの裏事情・完

第7章 過去

「なぁ将悟、俺今日アフター頼まれたんだけど」

仕事が終わってルームでくつろいでいる将悟に、一応言ってみる。


「・・・何その告白。 俺に自慢?」


何か、どーでもいいような言い方・・・

ちょっと傷付いたなぁ・・・なんて思ったけど、こういうのは将悟にとっては日常茶飯事。

どーってことないんだろうな


「ううん、一応報告」

すぐ顔に出してしまうクセを隠すため、読んでいた雑誌で顔を覆った。

その中で、いろんなことを考えていた。


告白して、付き合って、セックスしたらもう終わりなのか?
俺の想像してたのと、案外違うのな、現実って。もっとラブラブするもんかと・・・

そんな女々しいことを考えていると、雑誌の紙の冷たい感覚がはがされ、暗かった視界が明るくなった。

すぐ真上には、将悟の顔が。

バッチリ目が合ってるから、すっげー恥ずいんだけど・・・

もう逸らせない。


将悟の顔が近付いてくる。



キス・・・かな


そう思って恥ずかしながらも目を閉じる。


まだ唇は触れない。
まだ?と思って片方だけ目を開けると、カシャッ という音がした。


「ツンデレ研斗さんのウインク写真撮れましたー」


「っな!!! お前っ 何撮ってんだよ!!」





キスじゃなかった・・・


勝手に期待していた自分が情けなくなってきた。
将悟は満足そうにスマホの画面を眺めている。

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