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とあるホストの裏事情・完

第7章 過去

「本当に久しぶりだね!
すっごく懐かしい」

持ち前のゆるふわの髪を左右になびかせ、くりっとした目をこちらに向ける。
あの頃と全く変わっていない。


架代は、俺が20のときの彼女
もう3年も会っていなかった。


「あぁ、そうだな。
ってか、実家帰ったんじゃなかったっけ?」

俺と架代が別れた理由は、架代の家の事情にあった。

架代の祖母が亡くなって、家に母親しかいられなくなったから。
父親はもう離婚しているらしい

遠距離恋愛っていう手も考えた。
でも俺は正直、そういうのが苦手で。

だから、正直に別れよう、と言った。

架代も納得して、そのまま俺達は終わった。



「うん、そうなんだけどね、何かお母さんが親戚の家に住むことになって。
私もいいよって言われたんだけど、さすがに迷惑かかるしね・・・」

「で、こっちに出てきたと。」

「そう。
・・・将ちゃん、家変わってなかったんだね」

架代がクスッと笑って言う。
すごく、懐かしい笑顔


「あー、何かめんどくさくて変えてねー」

ぶっきらぼうに答えると、架代が今度は大きく笑う。


「そういうとこ、前と全然変わってないのね!
ほんとに懐かしいな、あの頃は私、将ちゃんにベタ惚れだったな~」

堂々と恥ずかしいことを口にする。

でも、俺の方が架代を好きだった気がする。まぁ、好き『だった』だけどな。

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