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とあるホストの裏事情・完

第8章 女

将悟side





予定通り、俺の元カノは来た。
朝とは少し違うファッションで、髪ももっとゆるふわにして。
この店に来る女とは雰囲気が違う。研斗もそれに気付いたのか、「うわあ…」と小さく呟いた。


架代が座ったのを確認して、研斗の腕を引っ張る。

「おい、行くぞ」
「へっ??でもまだ指名……」
「俺に直接入ってんの。いいから」




架代は俺に気付いたら、顔を明るくした。

「あー、将ちゃん。早いね、来るの」
「どうせ指名するだろうし」
「うん」


架代はクスクスと、小さく上品に笑った。やっぱ変わってない。


「あー、と……その子は?」
架代は研斗の方を示し、俺に聞いてくる。
なんて、言えばいいかな………
恋人?後輩?友達?

俺は悩んでいた。もし仮に恋人、と言ったら、架代が驚く。それで研斗も「言うなよ!!!」みたいな事になる。
もし仮に後輩、って言ったら、研斗が……
もし仮に友達、って言ったら、研斗が……


あーっクソ。どうすればいいんだ?

俺が悩んで、目を瞑っていると、隣で研斗が

「最近入りました、研斗、って言います。気軽に呼び捨てしてください」

と、笑顔で言った。


………その手が…。

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