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とあるホストの裏事情・完

第8章 女

研斗side


なに?この人。さっきから俺がいるのに構わず将悟とイチャイチャしやがって。

仲良さそーにしてんなよ、将悟も。
あーもう、………俺、ちゃんと将悟のこと好きじゃんか。くそ野郎。


そう思っていたら、黒服から耳打ちされた。
俺に指名が入った。


「じゃ、失礼するね」
笑顔で二人にそう言ったあと、小さく将悟を睨んだ。




俺が指名されたのは、前にも何度か指名されたことのある、瞳さん、という人だった。

「ありがとう瞳さん。久しぶりだね」

持ち前の甘い笑顔でまずは挨拶。

「研斗も。随分とセコい笑顔を覚えたのね、いつの間にか。初めてのときなんか固まってたのに」
「成長したの。瞳さんのおかげだよ…」
そう言って、少し腰の位置を瞳さん寄りに動かす。
「まあ、いいわ。研斗が成長してくれるのは嬉しいことだしね」
「ありがと」

また、笑顔でそう言う。これが、癖になってしまったようだ。


「おーい、俺もいるんスけど?」

隣で、気まずそうな顔をした誠也さんが言った。

「まあまあ、可愛い後輩が私と話してるんだから、察してちょうだい?…それにしても、よく喰わなかったわね、この子を」
「いやー、喰いたいよ?」

本人目の前にして、何言ってんだ、って思って少し笑えた。
……あ、良かった。自然に、笑えた…

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