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エール

第1章 リーヴル

......


「中井君!?」


思わずガタガタと音をたて、立ち上がってしまう。


今は朝で、場所は図書室。何でまたここに和希君がいるのか...。そういや、昨日も何で居たんだろう...。


「高橋。いや......あの、なんだっけ、シャーロックホームズってやつ読みたいな~って...。」


戸惑う私に、和希君は頭をかきながら説明した。


「あぁ......そういうことですか。」


一瞬でも私に会いに来てくれたんじゃないかなんて考えた私、本当恥ずかしい!


和希君が私なんかに会いに来るわけないことなんて、自分が一番よく分かってるはずなのに!


あぁ、穴があったら入りたい...。



頭の中で悶々としながら、私は和希君の言葉を反芻してみた。


ん?シャーロックホームズ...?





「中井君、シャーロックホームズに興味があるんですか!?」



「え?えぇっと...おかしいかな......?」



とんでもない!



「私、シャーロックホームズの大ファンで、中井君にも興味もってもらって、すごい嬉しいだけですっ!」



シャーロックホームズは、かっこいいですから...。と、夢見心地で語る私。



ふと、和希君が私をポカーンと眺めていることに気づく。





あぁ........................やってしまったぁ!

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