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闇の王と光の騎士

第9章 暴君王のスピーチ

その報告会にはももは将軍も参加していた。
彼が死の湖で見た餓鬼仙人の報告をしたとき、すまいる王は眉をピクッと動かし「そうか」とだけ告げた。

ももははまあやと霧里を注意深く監視するように見ていた。

(魔導師たちめ……)

彼はすまいる王が軍人より魔導師を重用することに危惧を感じている。
それは別に自分ら軍人の立場が低く見られることへの不満ではない。

ただ人民のために動くというより、国王や国の上層部のためだけに動いている魔導師の権力が強まることに危惧していた。

報告会には朽ちた古城で堕天使と狼男、アマテラスの残党や過激派革命軍を目撃した月夜野も参加していた。

殺されかけた霧里を見たときは心臓が止まりそうだったが、当の本人である彼女は覚えていなかったようで月夜野と目があっても無反応だった。

このときほど自分の存在の稀薄さがありがたかった時はなかった。



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