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闇の王と光の騎士

第13章  魔界争乱

「人類がガスを片手に攻めてきているんだ。このワクチンは今すぐに使わねば意味がなくなる……」

「はい」

「我らを害虫の一種程度にしか思っていない人間には容赦がない。子供だろうが病人だろうがあいつらは構わずに、躊躇いなく殺す……そういう奴らだ……」

櫻啼は苦々しく言い捨て、じっとワクチンを見詰めていた。

「早急にこれを国中に配れ!! 子供や弱ってるものを優先にな!! 前線で戦ってる奴等にはあの程度のガスは効かん!! 気にするな!! 子供たちこそがこの国の、魔族の未来を背負うものなのだからな!!」

「かしこまりました!!」

研究員達はありったけのワクチンを鞄に積め始める。

その瞬間----

バリンッ

豪快に窓ガラスを破壊して一人の人間が突入してきた。

「貴様はっ……」

「そのワクチンはここでお前と共に消し去る……櫻啼棟架……」

ローブに身を包んだその少女は殺戮兵器、霧里朱蘭であった。

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