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夢魔の子どもたち

第1章 幻彩

とある都の北東に、木が鬱蒼と生い茂る深山があった。
複雑に絡んだ枝と葉の陰で太陽の光は届かず、一歩踏み込んだだけで夜のように暗い。じめじめした足元には不気味な色のキノコが生えている。昼間はしんと静まり返り、夜になると肉食獣の雄叫びが低く響いた。
以前は開墾を試みた樵がふもとのほうの木を切り倒したりしていたが、どこまでも際限なく広がる樹海が切り開かれる様子はまるで無く、今では山に立ち入るものは誰一人としていない。

そんな山の中腹に、ささやかな小屋が建てられていた。もちろん誰もそんな事に気づかず、10年の間ひっそりと木々の中に埋もれていた。

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