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夢魔の子どもたち

第1章 幻彩

小屋の窓に少女の影が映った。
彼女の名は彩(さい)。
白く透ける弾力のある肌、小さな手指、細い髪。10歳という年齢にしては幼く見えるが、性格は対照的に大人びている。瞳には子供らしい輝きが無く、妙に落ち着いていた。
そして、どういうわけか彼女には何やら淫靡な気配が感じられた。

彼女は一日をこの狭い小屋の中で過ごす。
外の世界には甚だ興味があったが、生まれて此の方一歩も外に出ていない。共に暮らす兄達の言い付けで、外出を一切禁じられていたからだ。
そのためまったくの無知であり、文字の読み書きもまともにできない。しかし物語を聞くのが大好きで、毎晩寓話を聞かせるよう3人の兄達にせがんだ。
現実の世界と想像の世界を行き来する毎日なので、いつしか両者の区別が曖昧になり、昼間から夢を見ているような虚ろな目をしていた。
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