
溺れる電車
第5章 愛おしいなんて。
それが、すごく恥ずかしくて。
乗り込むと、小さなBGMが流れていた。
恋愛を歌う曲だ。
へんな気を遣うことないのに。
なぜか、話すことがなくなってしまった。
無言だと、やっぱり変。
「もうそろそろ、頂上だね」
「そうだな」
「頂上でキスするとね、恋が一生続くんだって」
「人によるんじゃないか?」
「どーうゆう意味?」
「だって、亮ってやつともしたんだろ?」
「う、うん」
優人は、なぜか、亮の話をしたがる。
私は、そのたびに目をそらす。
もう、忘れたかったんだ。
