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第10章 ☆それだけで、幸せ

「……彩………」




翔ちゃんは困ったような顔で、私に一歩近付く。




「この前も、同じ事言ってたけど。
夫婦なんだし、そんなわけねーだろ?」

「言ってくれなきゃ分からないよ!」




……駄々をこねる子供のように


今までの気持ちを全て吐き出した。


多分、こんなに心の底から想いを言葉にしたのは、初めてだと思う。


泣きじゃくる私の話を、黙って聞いていた翔ちゃんは


大きな右手を、少しだけ乱暴に私の頭に乗せた。




「……彩、お前さ。

周りに急かされて、焦って俺と結婚しただろ」


「……………!」




その言葉に驚いて、顔を上げると


翔ちゃんはふっと笑って続ける。




「俺はさ、結婚なんていつでもよかったんだ。

というより、してもしなくても、俺にとっては形なんて何でもいいんだよ」



「………………っ」



「どこに行っても、何をしてても。


俺が求めるのは、そこに彩がいるかどうかなんだ。


……お前が傍にいてくれたら


それだけで幸せなんだよ」

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