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♡*:。.rena's world story.。:*♡

第16章 ★行かないで

………誰にも気付かれないように


そっと離れた場所から蓮を見つめる、ヒカルの眼差しが


高校時代の自分にそっくりだった。




お互いが見えない距離にいて、違う時間を過ごしていれば


相手の幸せを遠くから願うことで


狂おしい程の強い想いでも、なんとか自分の心に閉じ込めることができる。



………だけど



寄り添えねぇのに、傍にいる程苦しいことはない。


彷徨ったまま吐き出せない気持ちは、募る一方で


相手が近ければ近い程膨らんでいく。




………そして


ヒカルの場合、同じように本心を隠した俺よりも


その痛みが大きかった。




……片想いをしている相手に


遥かに強い想いを抱えた、忘れられない人がいること………




過去の恋愛を一切語らず、周りからその真の心を覗く事はできなくても



蓮が時折見せる、切ない微笑み





………俺とヒカルだけは



分かっていた。

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