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第29章 ♥隠れて甘いkissをして/立花と香

……まぁ、そりゃそうだろうけど


俺の失態によって、香が勘付いた時点から


なんか妙な胸騒ぎというか、不吉な予感がするんだよな……



「ピュアボーイ。
いい加減腹を括ってちょーだいよ」



腕時計に目をやったアンジーが立ち上がる。



「8時に店の前に迎えを寄こしてるから。
あと10分したら裏口に……」

「彰くん、電話が鳴ってるよ」



アンジーが話している途中で


カウンターに置きっぱなしにしていた携帯を、シゲさんが指さした。


危うく置いて出るところだったな。


「すみません、ありが……」



…………!!


着信画面を見て、全身がフリーズ。


いや、でも出ないと……



「………はい」

『もしもし、立花先輩?』

「………うん」

『今お電話大丈夫ですか?』

「………あぁ」



いつもと同じ、香の高い声。


いつもと変わらない明るいトーンだからこそ、逆に怖い。


ビクビクしながら携帯を耳に押し付ける俺に、周りが注目する。

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