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第7章 ☆甘い誘惑

「これ、オープン記念に、今日来てくださいましたお客様にお渡ししていたんです」



青い瞳の彼は、手に持っていた白い袋を私の前に差し出した。



「カラメル風味のフルーツケーキです。
ひとくちサイズですけど。
僕が作りましたので、宜しければお持ち帰りください」



丁寧な言葉に、爽やかな笑顔。

彼は、私を真っ直ぐ見つめて続けた。



「明日来て下さるなら、ぜひ感想聞かせてください。
楽しみに待っています」

「…………っ」





この時、なぜそうしたのか。


私は咄嗟に、結婚指輪をしている左手を隠して


右手でそのケーキが入った袋を受け取った。




「……嬉しいです。
ケーキ大好きなので。
ありがとうございます」



素直にお礼を告げると、彼はもう一度微笑んだ。



「こちらこそ。
ケーキを大好きなあなたに受け取ってもらえて、嬉しいです。
……お逢いできて、嬉しいです」



私にペコっと頭を下げると、彼は再び店の中へと戻っていった。



ドキドキが止まらない。



久しぶりに高揚する気持ちに戸惑いながらも


高鳴りを続ける胸の前で


私はその白い包みを、ぎゅっと抱きしめた。

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