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Star crew

第4章 思い出


家に帰る途中
君の両親に会った。


ごめんなさいね。
と、突然君の母親に謝られた。

僕は何故謝るんです?
と、聞いた。

あの子に嘘をついたの。
記憶の一部が消えてるって。
でも、違うの。
あの子は全て記憶がない。
私たちのことだって覚えてなかった。
あの子に酷いことを…うぅ…。


僕は何を泣いてるのか
何が酷いのか分からず
君の父親に目線を向けた。


あの子は優しいんだよ。
君も分かるだろう。
自分の名前はベッドのところで見たようでね…
両親の名前を教えて欲しいと
看護師さんに聞いたようなんだ。
日記も少し読み返したようでね…
だから、てっきり…てっきり…
私たち両親のことは分かるのだと…


泣いてたのよ。あの子…

君の母親は話を遮るように言った。

怖くて震えて泣いてたの。
それはそうよね。
だって分からない知らない人が
横でずっと話すのよ?
私、知らなくて…
看護師さんにこの話を聞いて
どうしていいのか…



落ち着いてください。
僕は君の両親に一言そういった。

僕は今日、彼女と夜空を見に行きます。
それで記憶が戻らなければ
彼女とは友達として付き合っていきます。
お母さんやお父さんのことも
僕から少し話してみます。



ありがとう…
君の両親は声をそろえて言った。

そして、最後に聞いた。
何故、謝ったんです?


君の母親は言った。
あなたのこと、誰なのか聞かれて
とても仲のいい友達と…。


そうですか。




そうか。それで僕を仲の良い友達って…。



君の母親が彼氏と言わなかったことを
何故か安心する僕がいた。

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