LAST SMILE
第10章 知ってしまった痛み
*
「え・・・?」
何言ってるの?
「びっくりだよなぁ。亜貴は知ってんだけどさ、
あいつ、うるせぇんだ。
煙草やめろとか、あんまり運動すんなとかさ」
だからだ・・・。
祐兎はこんな性格だ。
強がって、
みんなに悟られないように振舞っている。
金髪は強がりの表れだった。
煙草を吸うのは、
躍起になっているか、
その行為もまた、病気を隠すため。
いつも水しか飲まないのは、心のどこかでは
必死に気をつけようとしている表れ。
そして、時折冷たい目をして、
遠くをみつめるようにするのは―
自分の死を覚悟して、
すべてを悟ってしまっているから・・・。
「はは。そういえば悪ぃな。
お前落としちゃってさ」
祐兎は楽しそうに
そう笑いながら煙草を取り出した。
やめて。
ダメだよ。
祐兎・・・。
気付くとあたしは
祐兎の取り出した煙草を払い落としていた。
「・・・何すんだよ」
「やめて・・・。祐兎」
「今さらなんでだよ。
毎日吸ってんじゃん。
あ、病院だから、とか言うんだろ?」
「ダメ!!!」
そう叫んであたしは、
別な煙草をくわえた祐兎にしがみついた。