LAST SMILE
第13章 お願いごと
頬に、暖かいものを感じた。
「・・・祐兎」
そこには息を切らせて、
鼻を真っ赤にした祐兎が立っていた。
あたしの頬に当たったのは、
缶のココアだった。
「なんで・・・」
「お前なぁ!ケータイくらい持って出ろよ!!
探しただろ!?」
祐兎はあたしが何かを言う前にそう怒鳴った。
そういえば、あたし、
そのまま出てきたから何も持たなかったんだ。
あたしは差し出されたココアを受け取った。
「何これ・・・」
「ばっか。お前何時間いたんだよ。
凍傷なっても知らねぇぞ!?
せっかく寒ぃと思って買ってきたのに・・・。
いらないなら返せ」
「いるよ!!馬鹿」
あたしは祐兎が取り上げたココアを取り返した。
「あのさ」
「え?」
「・・・悪かったよ。さっきは」
「・・・祐兎?」
祐兎が突然謝った。
「言い過ぎた。何か、
いつものお前じゃなかったから、つい・・」
「・・・ううん。あたしも、ごめんなさい」
あたしはそういって、ココアを握りしめた。
「確かにボーっとしてたと思うけど、でも、
適当、とか、ふざけてやってたとか
そういうのじゃないの」
「ああ。知ってる」
祐兎が頷く。
あたしは一つ息をして、うつむいたまま言った。
「ねぇ、あたしは、いらない?」