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LAST SMILE

第13章 お願いごと






「は?」


祐兎は短くそう発した。


「なんでそんな・・・」


「もう、治ってるんでしょ?喉・・・」


「え・・・」



あたしがそう言うと、
祐兎は言葉に詰まったようだった。



やっぱり、治ってる。



いつだろう。そう感じたのは・・。



たぶん、あの日の夜からだ・・・。



あたしを、
家まで送ってくれた帰り道のときだ。



あの時の祐兎の声は、
今までの少しハスキーな声じゃなかった。






耳に残る、心地のいい低い声。




たぶん、あの時から、
もうわかってたのかもしれない。



「なんで気付いた?」



「すぐ気付いた。
 いつものハスキーボイスじゃなかったし」


「はは。それで・・・なんで
 “いらない”とかの話になんだよ?」



祐兎は少し笑ってそう聞いてきた。






何でって・・・。


わかってるじゃん。
そんなの。





「だって・・・。もう治ったなら、
 祐兎がボーカルやるでしょ?
 そうしたらあたしはもう、
 歌わなくてもいいわけだし・・・
 

 ・・・本来のBlue skyに戻るじゃない」






急いで、そこまで続けて喋った。



早く言わないと、泣きそうだったから。








「俺はもう、ボーカルはやらねぇよ」







「え・・・?」





なんで・・・?




あんなに歌いたくて、必死で、






それなのに・・・。どうして?








「それって・・・。病気と関係ある?」









“もしかして”









それだけがあたしの頭を過る。




祐兎はふっと笑って首を振った。





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