LAST SMILE
第14章 見えない明日
*
クリスマスコンサートの前日。
あたしたちはいつもよりも
気合を入れて練習をしていた。
クリスマスコンサートでやるのは8曲。
あたしたちBlue skyはトリみたいで、
時間を使ってもいいといわれたので、
こんなに多くの曲をやることになった。
アップテンポな曲を5曲。
バラード系を3曲だった。
あたしは
みんなに必死についていかなきゃいけなくて
とにかく歌いまくった。
「よし。最後の曲はそんな感じで。
アンコールが来たらこの盛り上がる曲を・・・」
祐兎が最後の打ち合わせで、そういったとき、
あたしは声をあげた。
みんなが、驚いてあたしを見る。
それもそのはず。
今まであたしは、
こういう構成に意見を言ったことがなかったから。
あたしは手を上げてストップをかけた。
「ちょっと待って。
あたし、こっちの曲をやりたい」
「「「は・・・?」」」
祐兎、武田くん、磯部くんが
3人揃って声を上げた。
亜貴は眉をあげてあたしと、
その楽譜を交互に見つめていた。
「なんで・・・これ、バラードじゃん」
「REI、バラードは
アンコールにはあわないと思うけど」
「いいの。これがやりたい・・・
やらせてください」
あたしはみんなに深々と頭を下げた。
「う~ん・・・」
武田くんが声をあげた。
そうだよね。
予定通りの曲をやれば
盛り上がって大成功のはず。
バラードをやってもし、
しらけてしまったら?
あたしが台無しにすることになる。
だけど、
だけどね。
あたし、この曲をやりたいって
そういうのには理由があるの。
みんなには、教えられないけど・・・。