LAST SMILE
第14章 見えない明日
みんなが顔をしかめる中、
祐兎が声を出して笑い始めた。
「モッチー?」
「いいじゃん。
こいつがやりてぇ曲をやらしてみれば?
こんなに丁寧に頼んでるとこ、超レアじゃね!?」
「はぁ。まったく。
モッチーはいつでも気まぐれなんだから」
祐兎が賛成してくれると、
磯部くんも、武田くんも了承してくれたみたいで、
結局、あたしがやりたいバラードを
アンコールにもっていくことに決まった。
「よし。今日はもう解散にするけど、
明日今年最終ライブ、頑張ろうぜ!!」
「「「おう」」」
「おーう!!」
スタジオを出るとき、
あたしは
自然と帰りの準備をして椅子に座った。
「あれ?REI、帰らんの?俺と帰る?」
「いや、まだ・・・」
武田くんに話しかけられる。
あたしは戸惑いながらも断ろうとして
苦笑いをすると、後ろから声が飛んできた。
「たけし。誘拐すんなよ。
麗華は俺待ちだから」
え・・・。
「嘘。モッチー、
その自信どっからきてんスか?」
「いーから、お前らは散れ!!」
「・・・ふーん。おい、祥吾。
俺らはお邪魔らしいから帰ろうぜ」
亜貴が片付け終わり、あたしに近付く。
あたしは亜貴の顔をじっと見つめた。
「お疲れ。亜貴。明日頑張ろうね!!」
「おう。お疲れさん」
亜貴はそう短く言うと、
あたしの頭の上に手を置いた。
「頑張れ」
「え・・・?」
亜貴が、あたしの顔を見て苦笑した。
そのあと、一瞬だけ、
悲しそうな顔をする。
あたしが声をかける前に、
亜貴はスタジオを出て行った。