テキストサイズ

LAST SMILE

第16章 なんだよ、って。










「え・・・」



あんまり静か過ぎて、
中の会話が全部聞こえてしまう。



そんな中、聞こえた言葉に、
あたしははっと顔をあげた。






―バンド、やめるわ―






何?


どうして?



なんでやめなきゃいけないの?




祐兎はあんなに、
あんなにバンドが好きなのに・・・。






「あ、藤堂さん!?」









あたしは走った。



とにかく、逃げたかった。



聞きたくなかったの。




そんな、弱々しい、
祐兎の声を・・・。





夢中で走って、


今どこにいるのか、場所も分らなくなって。




それでも走った。




振り切りたかったの。




この、どうしようもない感情を。






ねぇ、今年最後のライブは成功?





ねぇ。祐兎・・・。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ