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LAST SMILE

第4章 ふさわしいあたし







歌い終わると、亜貴がよしっと小さく呟く。


「んじゃ、この歌詞、今度はこれつけて歌ってみ?」


「え?いきなり?」


「俺も一緒に歌うし」





亜貴が!?


てか、歌えるなら亜貴でもいいのに・・・。


そんな考えを急いで頭から追い出して、歌に集中した。


亜貴がブレスを取った。



(あ・・・)




亜貴が歌う。


昨日、あたしが勝手につけたメロディーにのせて。


覚えてるんだ。


あたしの作った出鱈目なメロディーを。




ていうか亜貴の歌、初めて聞いた。


こんなに、
こんなに上手いんだ。



「おい、何で俺だけ歌ってんだよ。恥ずいだろ」


「ご、ごめん!!」




亜貴の声に聞きほれてたなんて死んでも言えない。


あたしはすぐに謝って、歌詞カードに目をやった。


「次はちゃんとやれよ。もう歌ってやんねぇからな」


「うん」


亜貴は歌ってやんないっていったけど、
なんでか、歌ってくれる気がした。


だからかな?


自然と緊張はなくて、気付くとあたしは、
亜貴のベースに合わせて歌詞の通りに歌っていた。






この歌詞は、元気のない君を立ち上がらせる応援歌。







―元気を出して。君ならできる。


なんていう言葉はいらない。


俺に言えるのはただ一つ。



“俺がそばにいるから”―







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