LAST SMILE
第4章 ふさわしいあたし
あたしが難しい顔をしていると、
祐兎が慌てたように言った。
「別に。最近、あっちに遊びにいったから最近はよく出るんだよ。
地元の奴に“標準語とか似合わねぇ”とか言われたからつい・・」
ふーん。
別にいいけど、何でそんな必死こいて弁解?
うけるんですけど。
「ねぇ、4人で何話してんすかー?俺も混ぜてよー。
てか、合わせないの?」
一人、蚊帳の外だった磯辺くんがぶーぶー言い始めたから、
あたしたちは準備にとりかかった。
「みんなに一つだけお願いがあるの」
あたしは意を決して言った。
他の4人が作業を止めてあたしを見る。
うー。
やばい。緊張する。
でも、言わなきゃ。
「少しでも不満だったりしたら、すぐにあたしを切って。
これならまあいいか、とか、そのうちよくなるとか、
妥協は一切したくないの」
みんなは何も言ったりしないで、
真剣になって聞いてくれた。
「だから、お願い。“Rees”の“REI”としてじゃなくて
・・・“Blue sky”の新メンバーの“REI”として
ふさわしいか見て欲しいの」
あたしがいい終えると、
武田くんが困ったように言った。
「いいって、そんな責任感じなくても。
もともと俺らがお願いしたんだし・・・」
「たけし。こいつの言うとおり、テストしてやろうぜ」
武田くんがあたしを宥める中、
亜貴がぽつりとそういった。
そうすると、みんな納得したように配置に付いた。
「よし。んじゃ、はじめるぞ」
祐兎がギターを鳴らす。
始まった。
練習したもん、大丈夫だよね?
亜貴と一緒に、頑張った。
Reesみたいな、コピバンみたいな
安っぽい偽者のバンドなんかじゃなくて、
本物の、
この人達のバンドのメンバーにふさわしくありたい。
悪いけどあたし、負けず嫌いなんだよね。
深く深呼吸し、あたしはベースの音を合図に歌い始めた。
みんな、聞いて。
あたしを。
あたし自身を。