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未来の彼方

第2章 不穏な電話






「小野寺先生、また西先生にいびられてたんですか?」


「あ、香織先生・・・。お疲れ様です」



保健室の養護教諭、須賀香織先生がため息をついた俺の隣に座った。



愚痴を言いたい気持ちをなんとか抑えて、俺は首を横に振った。



「俺がちゃんと生徒を注意できないのが悪いので、いいんですよ。


生徒と教師っていう関係性をきちんと保つことは大事ですしね」



「またまた。小野寺先生は優しいんですね」



「いえ。そんなことないですよ」



そう言い愛想笑いをすると、香織先生は綺麗に笑い返した。


そうして、思い出したようにはっとした表情をすると、
俺に向かって言った。



「そういえば!小野寺先生にお電話がありましたよ?」



「電話?」



「ええ。お名前を聞いたら切られちゃったんですけど・・・」



「はあ、そうですか」




電話??誰だよ。



学校にかけてくるやつなんて、知り合いにいたっけかな?



友達はみんなケータイにかけてくるだろうし・・・。



そんなことを考えていると、香織先生が声をあげた。



「でも、その人男の人だったんですけど、

“小野寺先生の番号はこれで違いはないか”って、そう聞かれましたよ?



だから私、そうですけどって答えたので、多分かけ直してくるんじゃないですか?」



男?


いや、女なら尚更おかしいんだけどさ。


本当に誰だろうか。



香織先生の言った“謎の男”が気になって、俺はしばらくずっと考えていた。



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