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夜が明けても傍にいて。

第27章 私の知らない過去

そして---

しばらくして…慎也が帰って来た。



「ただいま、莉菜…

どうした?泣いたのか?何かあったのか?」


私の顔を見るなり異変に気付く慎也。


きっと私の最近の様子にも気付いているに違いないのに…。


あの人の話をしないのは何故?




慎也は私に寄り添うように部屋に入った後
テーブルの上に置いてある、ソレを見て固まった…。



私が片付けていなかった赤い口紅が付いている彼女のタバコの吸い殻。


部屋にはまだ鼻をつく香水の匂いも残っている。




「莉菜…。」



慎也はゆっくりと私を見た。



「…何?」


「誰か…来てたのか?」


「…。」



私は…唇をきゅうっと噛んだ。




わかってるんでしょう?


気付いたんでしょう?


どうして弥生が来たのかって直球で聞かないの?


私から聞くまで言わないつもり?



私は…慎也のその態度に我慢できなくなってしまった。





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