テキストサイズ

君の瞳に映るもの

第2章 空白の時間

 それは意識を手放す直前の感覚に似ているけれど、まだ、意識はある。

 何かがおかしい。

 けれど、快楽に邪魔をされて考えることができない。

「…――」

 零一の唇が私の名を紡ぐけれど、私の耳には届かない。

 何が起きてるの?

 私、どうしちゃったの?

 自分自身の恥ずかしくなるほどの甘く濡れた声さえも聞こえなくて、不安に駆られた心が目の前の男を頼ろうとしている。

「…っ、零一…――」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ