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君の瞳に映るもの

第3章 戸惑い

「惚れてるから」

「はぁ!? 頭大丈夫? い、意味わかんな……」

「わかんなくていい。俺が心底惚れてるだけだから」

 私の言葉を遮って、零一はきっぱりと言い切る。

 腕の力が緩まって、ようやく解放されたかと思ったけれど、零一の真っ直ぐな瞳が私をとらえ、息を呑んだ。

 頬を撫でて、指先が唇をなぞり、零一の顔がゆっくりと近づいてくる。

 その動きがやけにスローに感じて、避けようと思えば避けられたのに、私の躯は全くと言っていいほど動かず、瞳に唇を寄せられて思わず目を閉じた。

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