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君の瞳に映るもの

第1章 朝から……?

 ボディーソープを洗い流しながら、男は残念そうに呟く。

 なんのことわからずに首を傾げると、首筋に顔を寄せて続けた。

「お前の香り……」

 私の、香り?

 不意に、男が覆い被さってきた時に微かに香った香りを思い出す。

 女物の……。

 香水はあまりつけないのだけど、あれ? 私、香水なんてつけて出かけたっけ?

 その辺り、全く思い出せない。

「私、香水は普段つけないんだけど……」

「お前、昨日のこと、覚えてないのか?」

 言われて、何も言えず私は黙り込んでしまった。

 沈黙を、シャワーの音がかき消していった…――。








 

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