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君の瞳に映るもの

第2章 空白の時間

「お前、わかりやすいな」

「……」

 シャワーを止めて、男は困った顔で言って、そこから出るよう促す。

 この家に住んでいるのは私なのに、主導権を男に握られ、その背中を睨むけれど、男はお構いなしにバスタオルで躯を拭きながらベッドに腰を下ろす。

「記憶は、どこからない?」

「えっ……」

 どこからと言われても、寝起きの衝撃が前日の記憶をかき消してしまい、何から思い出せばいいのかわからない。

「……その前に、あんた、何者?」

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