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君の瞳に映るもの

第2章 空白の時間

「過去に関わりがあった者、とだけ言っておく」

「は? 過去って、何年前のこと?」

 その質問に、男は唇を結んで考え込む。

 でまかせを言ったのか、はっきり答えない辺り、かなり怪しい。

「過去は過去だ。あまり深く考えるな」

「それで、はい、そうですかって、納得できると思う?」

 過去と言われても、私の記憶に男の存在は見当たらない。

 すると男は、困った顔で呟いた。

「本当のことを言っても、受け入れられないだろうから、まだ、言えない」

 一体、何があったというのだろう。

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