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君の瞳に映るもの

第2章 空白の時間

 零一は肩を震わせて笑っている。

 ツボにはまったのか、笑いはしばらくおさまらず、指に挟まれた煙草の灰がフローリングの床にポトリと落ちた。

「ちょっと! 灰っ」

「あぁ、悪い。灰皿、あるか?」

「……はい」

 煙草は滅多に吸わないけれど、ふとした時に吸いたくなる。

 三年前に買った灰皿を置物の影から出して零一に差し出す。

「煙草、吸うんだな」

「……たまに、だけよ」

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