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君の瞳に映るもの

第2章 空白の時間

「その前に……」

 これまでの会話と同じように、零一は肝心なことは隠して、含みを持たせて私の様子を伺う。

 その度に私は、はっきり言わないことに苛立ちかけるのだけど、同時にその先が気になってしまっているのも事実で、結局、零一の言葉を待ってしまう。

 けれど、零一はしばらく経っても無言のままで、その表情は何か言いそうなのに、躊躇っているのか、なかなか言い出さない。

 その表情に表れる思案がどんなものなのかなんて、本人じゃないし、わからないことだけど、私から何か言おうにも、この時は何も思い浮かばず、沈黙だけが流れた。

「……約束、できるか?」

 長い沈黙の後、零一がポツリと言った。

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