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うちのむぅがドSなのか口が悪いのか微妙な件ww

第14章 タチの悪い女 <夏休み特別編>

ガシッ‼︎

背後から煌太にしがみ付かれ、むぅはハッと我に返る。


「お、俺はまだ帰らないからな‼︎ 」

むぅを間に挟み、煌太が父親に訴える。


「これ以上むぅくんのお宅にご迷惑をお掛けするわけにはいかないだろ」

「え? 俺、迷惑だった⁈ 」

捨てられた子犬のような瞳でむぅの母親を見つめる煌太。

キュン…

「そんな事ないよ! ずっと居てくれても構わないくらいだよ」

むぅの母親の心臓が締め付けられ、抱き締めたい衝動に駆られる。


「その目…やめろ」

バシ、と煌太の頭にむぅの手が振り下ろされる。


「痛てぇ! むぅ! お前は俺と離れ離れでも平気なのかよ⁈ 」

「……気持ち悪い言い方すんな」


騒ぎに気付いたのかお隣の玄関が開き、蘭と音羽が顔を覗かせた。


「音羽ーっ、音羽ーっ、離れたくないーっ‼︎ 」

音羽に向けて手を伸ばす煌太。

「いい加減にしろ、煌太。美優も心配してる」

その手を、煌太の父親がガシリと掴まえる。


「う……わかったよ……一旦帰る」

父親から感じる無言の威圧感に、煌太は項垂れながら答えた。


「一旦⁈ 戻ってくる気⁉︎ 」

思わずそう叫んだ蘭を睨みつける煌太の隣で、煌太の父親はニコリと優しく微笑んだ。




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